ベリタスのブログを読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、「堂々と伝えること」の大切さ:後編となります。前編はこちらです。合わせてお楽しみください。
前編では、ゴールドマンサックスのロンドンとニューヨークオフィスでの私の経験をご紹介しました。
後編は、株式市場取引が終わった後の話から始まります。
*****
午後4時には市場取引が終わります。次は、顧客からの日本株とアジア株の発注をしました。日本株は東京のトレーディングデスクに顧客注文内容を送ります。アジア株は業者に発注して一日が終わります。
そこである「事件」が起こったのです。
その日は、マイク(セールス)が某シンガポール株3万株の買い注文伝票を持ってきました。私は注文内容を確認し、付き合いのある業者でシンガポール株式取引所の会員権を持っている証券会社に電話で発注し、その日の業務を終えたのです。
翌朝、私の出社を待っていたかのように、マイクが足早に私の所に来ました。
マイク: “Do you have my order ticket from yesterday? (昨日の注文伝票持っているか?”
私: “Sure! Right here! (ここにあるよ!)”
マイク: “It was a mistake. Do you know how many shares were executed? The stock does not trade much in Singapore. If your broker filled any part of the order, we should ask them to cancel. (間違いだったんだ。何株執行されたか分かるか? この株はシンガポール株式市場であまり商いしないよな。発注先の業者が注文の一部を相対取引してたら、その分をキャンセルしてくれるようにお願いすべきだな。)”
私: “I need to call my broker and find out. (業者に電話して聞いてみるよ。)”
昨日、マイクが持ってきたシンガポール株の注文伝票にミスがあったのです。大変なことになりました。何株をいくらで買えたのかを確認するために、私は前日に発注した業者に電話を掛けました。
私:“Good morning, John! How are you? Do you have my execution? (おはよう、ジョン! 調子はどう? 約定報告もらえるかな? )”
業者:“Good morning, Mikki. Yes、 you bought 30,000 shares of ABC at xyz …(おはよう、ミッキィ。うん、ABC株3万株をxyz (値段)で買ってる。”
私:“John, this stock is illiquid. Was everything done in the market?(ジョン、この株って売買高が少ないよね。全部市場で執行されたかな?)”
業者:“Yes, all done in the market, Mikki!! (その通り、全部市場で出来てるよ、ミッキィ。)
私:“OK, I bought 30,000 shares of ABC at xyz. Thank you! (わかった、ABC株3万株をxyz (値段)で買った。ありがとう!)”
と電話を切ろうとしたところに、マイク(セールス)が私と業者の電話にいきなり割り込んできたのです。
(社内ルールで、トレーダー間の電話にセールスが入ることは禁じられていたのですが。)
マイク:”My name is Mike. The order was a mistake. The stock does not trade much in Singapore. Can you cancel if any portion was principal? (マイクって言うんだけど。その注文は間違いだったんだ。この株はシンガポール市場であまり売買しないな。もし取引の一部が自己の相対取引なら、その分キャンセルしてくれないかな?)”
このルール違反の電話割り込みとエラーの対応について私は激怒しました。
私:“HEY MIKE, you are NOT SUPPOSED TO JUMP IN to my line with my broker! It was YOUR mistake! Not MINE! (こら、マイク!!俺のブローカーとの電話に勝手に割り込むとは何事だい!あなたの間違いだぞ!俺の間違いじゃないからな!)”
と大きな声で怒鳴ったのです。おそらく、人生で一番大きな声だったと思います。
周りのトレーダー仲間は、すぐに何があったのかを察したようでした。すると、先輩アメリカ人トレーダーが私の所に来て、私の肩をもみながら言ったのです。
“Don’t worry, Mikki! We will take care of the problem so let us handle it from here.(心配するな、ミッキィ!俺たちが処理するから後は任せておけよ。)”
ニューヨークでの仕事にはかなりのプレッシャーがありました。英語でのやりとりのスピードが速く、かつ、自分の伝えたいことをタイミングを逸することなく伝えなければなりません。取引に関することならなおさらです。しかし、言わなければならない事を堂々と大きな声で伝えたことで、ニューヨーク本社での仕事への不安が吹っ飛びました。YesならYes、NoならNo。堂々と声を出すとなぜか自信が出てくるものですね。
英語で伝えるために必須だと確信したポイント3つ:
1.自信をもって堂々と話す。
2.ボディランゲージを使って力強く話す。
3.イントネーション(声の抑揚)を意識して話す。
英語を論理的に「堂々と話すこと」は、ベリタスのゴールでもあります。私は、ニューヨークでの「事件」をきっかけに、相手が誰であろうと「堂々と話すこと」が出来るようになり、自信をもって仕事に打ち込めるようになったのです。
英語で堂々と話していますか?
Veritas Coach
Mikiya Mori
Mikiya was born and raised in Gifu. He was fascinated to learn English when he was in junior high school. He practiced English words and sentences every day because he wanted to go to America. At college, he earned a study abroad opportunity in Seattle. His American experience really opened his eyes. As for career, he worked at Goldman Sachs and JP Morgan in the equities division for 18 years in Tokyo, London, and New York. In his 40s, he earned a Doctor of Education degree at University of Southern California to prepare himself for a career in education. Back in Tokyo, he managed an MBA program for mid-career managers as the program director for 12 years at Temple University Japan Campus. For many years, he wanted to help Japanese business professionals to be able to express themselves confidently in English and develop global mindset. Those qualities brought him many opportunities so now he wants to give back to society. Mikiya discovered Veritas whose mission matched with his passion. He believes in lifelong learning and hopes to contribute to students by sharing his experience. With the help of strong team, he is excited about the opportunity to inspire students to become global leaders of tomorrow.